第２水雷戦隊・第１８駆逐隊　「不知火」（しらぬい）
2DesRon,18Des.Div. "SHIRANUI"

　 日本海軍の代表的駆逐艦である甲型駆逐艦「陽炎」型の登場です。特型以降の艦隊随伴大型駆逐艦の集大成として、軍縮条約明け後に最初に計画されました。基本的にはその前の「朝潮」型を踏襲していますので、外見上の大きな違いはありませんが、船体強度や復元性について友鶴事件や第４艦隊事件の教訓を取り入れた設計が行われています。
　本型からは艦尾にナックルをつけ、高速航行時の水流をコントロールする工夫が行われました。また、駆逐艦としては初めて96式25mm連装機銃や93式酸素魚雷が搭載されました。
　ネームシップの「陽炎」から「秋雲」まで19隻が竣工し、開戦を迎えています。

　「不知火」は開戦時を想定して作りましたので、製作方法はほとんど「天津風」の場合と同じです。よって、製作手順の詳細は【駆逐艦「天津風」 （開戦時仕様）製作記】part１〜４をご覧下さい。→
As for the details of the production procedure, please see the following description "Making of destroyer AMATSUKAZE at the time of outbreak of Pacific War ( click this button ). →
　また、「不知火」固有の箇所（例えば舷外電路など）につきましては、【駆逐艦 「不知火」(開戦時仕様)＆「雪風」 （天一号作戦時仕様）の製作記】も合わせてご覧下さい。→
Additionally, as for the details of the production procedure, please see the following description "Making of destroyer YUKIKAZE at the operation of KIKUSUI and SHIRANUI at the time of Outbreak of Pacific War" ( click this button ), too. →

　なおこの「不知火」は、2009年７月発売の大日本絵画刊「ネイビーヤード」誌Vol.12に チョロッとだけ掲載され、南方作戦参加中に「金剛」とのツーショットを撮った写真を再現しています(^^)。

　「不知火」は「陽炎」型駆逐艦の２番艦として昭和14年（1939）12月に浦賀船渠にて竣工し、即日第18駆逐隊（呉鎮守府所属）に配属されました。僚艦はネームシップの「陽炎」と「朝潮」型駆逐艦の「霞（かすみ）」と「霰（あられ）」。ちなみに「陽炎」型19隻のうち、「陽炎」から「谷風」までの14隻は開戦時に呉鎮守府所属でした。
　 開戦時、「不知火」は南雲機動部隊に随伴して真珠湾攻撃作戦に参加し、開戦初期にビスマルク諸島攻撃、ポートダーウィン攻撃、セイロン攻撃作戦などに駆けずり回っています。

　昭和17年（1942）6月ミッドウェイ作戦に参加後、 「千代田」を護衛してキスカに向かいます。7月にキスカにおいて、敵潜水艦の攻撃を受けて艦橋付近を切断する大被害をこうむりました。9月に舞鶴まで曳航され、そのまま昭和18年11月まで損傷修理に明け暮れます。
　修理が完了した昭和19年1月、ウエワク輸送に従事し、4月からはふたたび北方に派遣。昭和19年10月、レイテ海戦に参加。志摩艦隊の一員としてスリガオ海峡に突入し、無事帰投することが出来ました。しかし「鬼怒」の救援に向かったものの、航行中にパナイ島北方にて米艦載機の攻撃を受けて、無念の沈没に至りました。

■「陽炎」型駆逐艦の簡易識別法
　「陽炎」型19隻はほとんど同じ形状をした同型艦のため、その識別は容易ではありません。残された写真を見る限り、簡単な識別には以下の２点が参考になるようです。
�@舷外電路
　「陽炎」型の舷外電路の道筋には、３〜４種のバリエーションがあります。「雪風」と「磯風」では艦首、艦尾とも道筋が異なっています。また「野分」も艦首部分からの折れ目が「雪風」や「磯風」とはわずかながら違っているようです。「不知火」の艦尾部分のなだらかな道すじが「磯風」と同じだったかどうか、写真からは判断が難しいところです。
　まとめますと、
・「雪風」の電路タイプ…昭和21年5月の明瞭な写真及び特別運送艦時代の写真から、艦首尾ともに電路が分かる。
・「磯風」の電路タイプ…戦前の停泊中の写真から、艦首尾ともに「雪風」タイプとは異なる電路になっている。
・「野分」の電路タイプ…昭和18年中頃の損傷修理中の写真から、艦首部分からの折れ目がやや「雪風」とは異なるように見える。
・「不知火」の電路タイプ…昭和17年7月5日に米潜水艦「グローラー」の雷撃を受けて大破し、9月17日に舞鶴工廠に入渠した時に撮影した写真から、艦尾の電路が「雪風」のタイプとは全く異なることが分かる。しかし「磯風」と同じであったかどうかは判断が難しいところ。艦首の電路も不明。

�A煙突の烹炊管の長さと形状
　「不知火」や「舞風」の烹炊管は長く突き出ていますが、「雪風」ではそれほど長く出ていません。「天津風」のものは「雪風」よりは長く出ているように見えます。また「磯風」と「浜風」の烹炊管はH字ではないように見えますが、同じ17駆逐隊の「谷風」ははっきりH字の烹炊管を持っています。

　 内火艇や9mカッターに乗った乗員の目線を想定して、極力低いアングルで撮ってみました。水線上の目線ですと、駆逐艦といえどもかなり大きく感じますね。

　このアングルから 撮ると、駆逐艦のシャープさが際立つような感じがします。定番的なショットですが、カッコイイですね。

より詳細をご覧になりたい場合は、をクリックして下さい。
Click on, when you want to see details more.