第三艦隊・第１航空戦隊「瑞鶴」（ずいかく）南太平洋海戦時仕様
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ZUIKAKU at the time of the battle of the
Santa Curz.
ミッドウェイ海戦大敗により虎の子空母４隻を一挙に失った南雲機動部隊にとって、「翔鶴」型大型空母２隻はその後の作戦の中核を担う存在となり、東奔西走の活躍を見せました。強大な米海軍と互角に戦えた最後の大海戦となった南太平洋海戦において、僚艦「翔鶴」と「瑞鳳」の被弾中破により緊迫した状況に置かれた「瑞鶴」を1/700で再現します。
■第三艦隊第１航空戦隊「瑞鶴」
昭和１２年（1937年）1月以降の無条約時代を迎えて、各種制約に制限されることなく自由な設計が行われた「翔鶴」型は、「赤城」「加賀」や「蒼龍」「飛龍」に比べ速力、兵装、防御力等の点から、艦隊型大型空母の決定版ともいえるものになりました。
当初から純然たる空母として設計された「翔鶴」型は、「赤城」や「加賀」のような改装につぐ改装の結果としての複雑な艦型ではなく、「飛龍」を拡大したようなスッキリした形になりました。
また「飛龍」と同じように左舷中央部に置かれる予定だった島型艦橋は、「翔鶴」の着工後まもなく気流の見直しや将来の搭載機が大型化され着艦距離が増大する可能性に配慮し、右舷中央部へと変更されました。このことによって、「翔鶴」では格納庫の一部に不都合が残ったといわれています。「瑞鶴」の方は、最初から艦橋を右舷中央部に設置することとして図面を修正し着工しましたので、不具合は「翔鶴」よりは少なかったものと思われます。
「瑞鶴」は昭和13年（1938）5月に神戸の川崎重工業で起工され、開戦直前の昭和16年（1941）9月に竣工した「翔鶴」型航空母艦の２番艦です。基準排水量25,675ｔ、全長257.5ｍ、飛行甲板長242.2ｍ、搭載機数84機の大艦で、16万馬力の出力により34ノットの高速を出すことが出来ました。
竣工後はネームシップの「翔鶴」とともに呉鎮守府に所属し、第一航空艦隊第５航空戦隊に編入されました。開戦劈頭のハワイ真珠湾攻撃作戦をかわきりに、ラバウル攻略支援作戦、セイロン島攻撃作戦、ツリンコマリ攻略作戦、珊瑚海海戦などをこなし、赫々たる戦果を挙げています。ミッドウェイ海戦後に第三艦隊第１航空戦隊に編入され、以降も第二次ソロモン海戦、ソロモン作戦支援、南太平洋海戦などに参加。僚艦の「翔鶴」が珊瑚海海戦や南太平洋海戦で被弾中破するも、「瑞鶴」は無傷でしのぐ幸運艦ぶりを発揮しました。ミッドウェイ作戦失敗による主力空母四隻全滅のあとの日本海軍の屋台を背負って、文字通り東奔西走したのです。
昭和19年（1944）6月のマリアナ沖海戦で「翔鶴」は戦没し、「瑞鶴」も初めて被弾しました。その後第三艦隊第３航空戦隊に編入され、同年10月のレイテ海戦に小沢艦隊の旗艦として参加。米機動部隊をおびき寄せる囮艦隊の任を担いましたが、殺到する敵艦載機の猛攻を受けてはさしもの歴戦の武勲艦もたまらず、ついに沈没のやむなきに至りました。
製作手順の詳細は、【第３艦隊第１航空戦隊・航空母艦「
瑞鶴」（南太平洋海戦時仕様）製作記】part１〜7をご覧下さい。→
なおこの「瑞鶴」は、大日本絵画刊「ネイビーヤード」誌第19号（2012年3月発売）に掲載されました。
| 要目 |
昭和16年（1941年）竣工時 |
最終時（マリアナ沖海戦時） |
|
基準排水量（ｔ） |
25,675 |
←同左 |
|
公試排水量（ｔ） |
29,800 |
|
満載排水量（ｔ） |
32,105 |
|
全長（ｍ） |
257.5 |
|
水線長（ｍ） |
250.0 |
|
垂間長（ｍ） |
238.0 |
|
水線幅（ｍ） |
26.0 |
|
吃水（ｍ） |
8.87（平均）
9.32（満載） |
|
飛行甲板長（ｍ） |
242.2 |
|
飛行甲板幅（ｍ） |
前端 |
18.0 |
| 中央部 |
29.0 |
| 後端 |
26.0 |
|
機関出力 |
160,000馬力 |
|
速力（ノット） |
34.0 |
|
缶数 |
ロ号艦本式重油専焼缶8基 |
|
主機 |
艦本式高中低圧タービン4基 |
|
航続距離 |
18ノットにて9,700カイリ |
|
兵装 |
| 高角砲 |
40口径89式12.7cm連装×8基 |
←同左 |
| 機銃 |
25mm３連装機銃×12基 |
25mm３連装機銃×18基または20基
25mm単装機銃10基 |
|
搭載機 |
戦闘機
（零式艦戦） |
18（常用）
2（補用） |
27（常用）
5（補用） |
爆撃機
（99艦爆） |
27（常用）
5（補用） |
27（常用）
5（補用） |
攻撃機
（97艦攻） |
27（常用）
5（補用） |
18（常用）
2（補用） |
|
格納庫 |
2段 |
←同左 |
|
エレベータ |
3基 |
|
電探 |
なし |
艦橋上に21号1基
飛行甲板上に21号1基
13号電探は未装備？ |
|
探照燈 |
110cm×4基 |
110cm×3基 |
|
搭載艇 |
12m内火艇×3隻
12m内火ランチ×3隻
8m内火ランチ×1隻
6m通船×1隻
9mカッター×2隻
13m特型運貨艇×2隻 |
基本的に同左
一部撤去の可能性有り |
|
乗員 |
1,660 |
←同左 |
|
主な外観上の
改装ポイント |
− |
・21号電探を艦橋上に装備
・21号電探設置に伴い、艦橋スポンソンの形状変化
・21号電探を増備し、３番探照燈を撤去して設置
・艦橋前後の飛行甲板上に３連装機銃を1基ずつ増備
・艦首尾に機銃スポンソンを増設し、３連装機銃を増備
・艦首尾の機銃スポンソンに機銃射撃装置を増備
・舷側の下段舷窓を閉塞
・防火対策の徹底 |
「翔鶴」型の飛行甲板は大型正規空母にふさわしい長大なもので、水面上からの高さは「赤城」「加賀」に比べて5.5m低くなり、その低く扁平なシルエットは日本海軍空母独特の艦型となりました。
飛行甲板は8本の伸縮接手でジョイントされて一体化し、その上にエレベータを3基設けました。前部エレベータの前に遮風柵を設置。また着艦制動索は10本、滑走制止装置は固定式が3本、移動式が1本装備されたようです。この1本の移動式滑走制止装置は、写っている写真がほとんどなく詳細は不明ですので、作品では表現していません。
下写真を見ると、「翔鶴」型の長大な飛行甲板そして背の低い扁平な艦型が良く分かりますね。低い姿勢から獲物に音もなく忍び寄る雰囲気が、艦姿からにじみ出ているような気がします。
下写真から、艦載機を並べる前の飛行甲板の様子がよく分かります。
「翔鶴」型の飛行甲板の制動索と滑走制止装置の位置と本数に
関しては、『艦艇考証三昧』(Studies about IJN
Warships)のコーナーの『「翔鶴」型航空母艦に関する些細なこだわり
』（「ネイビーヤード」誌第２号に掲載済み）
に概略を載せていますので、そちらも合わせて参考にして下さい。→
またこれらの議論を基に、「ネイビーヤード」誌第２号39〜41ページ、第５号49〜51ページ、第８号70〜73ページに考証記事を載せていますので、こちらも参考になればと思います。
今度は長大な飛行甲板の上に艦載機を並べてみましょう。
南太平洋海戦では、「瑞鶴」から
攻撃部隊が３回出撃しています。そして南雲機動部隊最後の攻撃となった第３次攻撃隊は、爆装艦攻6機（「瑞鶴」機１機、「瑞鳳」機5機）、艦爆2機（「瑞鶴」機1機、「翔鶴」機1機）、零戦5機（「瑞鶴」機3機、「翔鶴」機2機）という編成で、「瑞鶴」「翔鶴」「瑞鳳」それぞれの生き残った所属機をかき集めた混成部隊となりました。
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