第６艦隊第１潜水戦隊第１潜水隊 「イ−１５」
6F1SS1ST I-15

　乙型潜水艦「イ−15」も、甲型潜水艦「イ−９」と同じく、昭和12年度の�B計画により建造が進められました。巡潜型大型艦の大幅増強を目指すこの計画では、乙型は甲型の旗艦施設を除いたタイプとされ、当初７隻分の予算が確保されたようです。実際には、1隻分は「大和」建艦のためのダミー予算とし、「イ−15」から奇数番号順に６隻建造されました（15、17、19、21、23、25）。これらは、全て開戦直前までに竣工しました。
　次の�C計画においても乙型潜水艦の建造は続行され、「イ−26」から「イ−39」まで14隻が建造されました（26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39と、順番になりました）。
　その後の計画においても乙型の建造は進められ、結局昭和19年までにさらに40、41、42、43、44、45、54、56、58の9隻が竣工し、合計29隻の乙型潜水艦が登場しています。但し「イ−40」以降は若干の改造が加えられ、特に54〜58は戦時急造の簡易化もなされているので、厳密には「イ−１５」型潜は、「イ−39」までの20隻ということになります。

　旗艦施設を除いた乙型潜水艦は、艦橋がいくらか小ぶりになったために、基準排水量は2,198トンと甲型（2,434トン）よりやや小さくなりました。兵装は甲型に準じていますが、艦橋上の25mm連装機銃が１基となっています。甲型と同じく水偵射出機（呉式1号四型）を艦首に装備し、水偵1機を艦橋前部に格納しました。搭載水偵は、これも甲型と同じく零式小型水偵が採用されました。カタパルトや水偵格納筒が前甲板にあるので、甲型とほぼ同じような外観です。
　「イ−15」は昭和15年9月30日に呉工廠にて竣工し、即日横須賀鎮守府に配属されました。

　製作手順の詳細は、【潜水艦イ-７、イ-９、イ-１５、イ-１６（開戦時仕様）製作記】part１＆２をご覧下さい。→

資料：光人社・ハンディ版「日本海軍艦艇写真集　19」から抜粋

　「イ−15」は、開戦時第６艦隊第１潜水戦隊第１潜水隊に所属し、「イ−９」や「イ−16」とともにハワイ作戦に参加しました。第１潜水戦隊は主に空母部隊の前路掃航索敵を行い、オアフ島の北方に散開して哨戒任務についています。
　その後「イ−15」は第６艦隊第１潜水戦隊第２潜水隊に転属し、ラバウル、フレンチフリゲート（昭和17年3月の飛行艇によるハワイ攻撃作戦（Ｋ作戦））なとで作戦に従事したのち、ミッドウェイ作戦後にダッチハーバーを偵察したりしました。昭和17年後半には南太平洋海域にあって、トラック島を基点にソロモン、ガダルカナルと活動しました。
　昭和17年10月にトラック島を出撃、11月3日以降消息不明となりついに12月5日に沈没と認定されるに至りました。


　「イ−15」をネームシップとする乙型潜水艦には、非常に活躍した艦が多く、以下のような輝かしい戦果を残しています。

・「イ−19」…米空母ワスプ撃沈、駆逐艦オブライエン大破（その後沈没）、戦艦ノースカロライナ撃破
・「イ−21」…米駆逐艦ポーター撃沈
・「イ−26」…米空母サラトガ撃破、軽巡洋艦ジュノー撃沈
・「イ−27」…日本潜水艦中、ベストスコア達成（商船15隻、84,227トン）
・「イ−58」…米重巡洋艦インディアナポリス撃沈

　乙型潜水艦は日本海軍潜水艦の総撃沈量（907,000総トン）の42％を占めていて、唯一大いに気を吐いています。以上の実績から、乙型は日本海軍潜水艦の中でも特に優秀な艦船ハンターであったといえるのではないでしょうか。

　ところで、「イ−19」は６発の魚雷を斉射して米空母ワスプを撃沈し、同時に駆逐艦オブライエンを大破（その後沈没）させ、さらに戦艦ノースカロライナを撃破したという、潜水艦史上最高の武勲を立てました。実は「イ−15」も同じ日に同じ海域に約3万ｍの間隔で展開していて、「イ−19」はワスプ隊を、「イ−15」はホーネット隊を狙っていたのだそうです。

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